さくらの瞬間

これからは毎週日記書きます。 

ときに、桜が散り始めちゃいました。 

7年くらい前、大きな失恋をした事がありました。 
そんな頃、八王子の浅川沿いの道を夜独りで散歩してたときの事。 

ピンク色した満開の桜が夜の闇に光を注いでて、川のせせらぎが時間の流れをやさしくしてくれるような本当に静かな夜でした。皮が剥けたばかりで、風があたるとヒリヒリするくらい感傷的だった僕は、せまってくる底の見えない夜から必死に逃げようとしていました。 
3年後の自分、5年後の自分、10年後の自分とそれをとりまく環境をその時に思いつく限界を超えるくらいまで現実的に、そして希望を奮い立たせて無理矢理思い巡らしながら、川沿いの道を歩いていました。 
あ、もしもその頃のため息の量を計れたなら、1日で僕の部屋を埋め尽くすくらいは吐きまくっていたと思います。 

と、 

桜の花びらが1枚、チロチロと僕の目の前に降りてきて、ゆっくりと僕の身体を斜めに斬って地面に落ちました。 

1枚だけ 

その1枚の花びら以外のすべては止まっていました。 

次の瞬間、僕を覆っていた暗くて重くて得体の知れない不安を引き起こす霧は消えていました。 

今、7年前のこの出来事を思い返すと、もし小説家ならこの出来事を荘厳な物語にしてくれるだろうに、と思います。 
それくらい不思議な出来事でした。 

ところで、今日の朝、出勤途中に車から降りて、あの日の浅川とは全く別の川のそばで桜を眺めていました。あの日の事なんかすっかり忘れてて、ところどころを黄緑にした桜の下でポケーッと一服してました。 

なんか、桜ってこんなに白かったっけ? 

とか思いつつ、バフーッ!とか朝の濃ゆい一発をお尻の穴から吐き出しながら。 

そんで、さていくか、と思って車の方に振り向いた瞬間、 

チロチロチロチロ・・・ 

何を願ったかを思い出すのに少し時間はかかったけど、 

そういえば、7年後の今、 
あの夜に思い描いたものをたくさん達成させてもらってました。